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ABOUT HOME AUDIO

ここからは小笠のコラムで主観的内容も含まれます。
興味のある方のみお読みください。

オーディオ機器の中で一番厄介なのがスピーカーです。
同じスピーカーでも部屋の広さ・設置場所・置き方・音量・アンプとの相性など何を変えても聴こえ方が大きく変わってしまいます。
また、物理的な理想設計をしても現実の使用環境には合わないなど、単純な動作原理でありながら決定打が無いのがスピーカーです。

スピーカーの歴史はどのように変わり、問題点が何かを説明しましょう。

現在のスピーカーであるダイナミック型スピーカーの原型は90年ほど前に作られ1930年ごろには日本でも
これらを模倣した商品が作られるようになり広まりました。
当時のアンプは真空管の初期で小音量しか出せませんでした。よって、スピーカー側に大きな音が出る設計が求められ、高感度で出力音圧レベル(変換効率)の高い設計が進みました。
1940年後半にはスピーカーの主要な技術は確立され、米国やドイツ、U・Kなど各社から銘機が数々誕生しています。
その後はハイパワー設計が容易なトランジスターアンプの登場とともに、制約の多い高感度設計は影を潜め、生産性の高い設計と実用品への応用技術に移りました。おかげで、小型でも広帯域な周波数特性とクリアな音を楽しめる時代になりました。
日本の住宅事情を考えると小型化は喜ばしいことです。
では、小型化できた理由を考えると、
新たな発明があったわけではなく、駆動する側のアンプが進化したことでスピーカーの設計条件を小型化に変更することが可能になったといえます。

具体的には、より低い低域を出すにはスピーカーの振動板は重く、高域を更に高く伸ばすには振動板は軽く(小さく)する必要があります。
これで、小さな箱でも広帯域化は実現します。コーン紙は紙以外にいろいろな新素材が用いられ、低歪みでクリアな音になりました。
ただ、その代償として初動感度と変換効率が下がり、音は小さくなりました。

一方、トランジスターアンプの出力は半導体の性能が著しく向上したことで、小型化と高出力を得ることができました。
これは、スピーカー設計にとって好都合に働き、小さくなった音量はアンプ側で補える構図ができました。

変換効率の低さはアンプの音量を上げれば必要な音量が得られるので問題になりませんが解決できない問題が置き去りになっています。初動感度です。慣性の法則で重いものは瞬時には動けないし動き出すと止まれません。

初動感度は何に影響するか。

初動感度が悪いとスピーカーの動き始めの追従性が悪いという事です。
音楽再生では余韻などの弱音部と小音量時の分解能が出ないということです。また小さな音量だけでなく大きな音量の中に存在する小さな動きも表現できないということです。
音の生え際や消え際だけでなく主たる音そのものの表情も出ないということです。

現代のスピーカーの音はクリアで定位も明確ですが表情の豊かさや生命感が少ないのは弱音の分解能が無いためです。よって、音量を絞ると音数が減り、音がやせるということが起こります。初動感度の悪いものにいくらハイパワーを入れても音量は上がるが表情は乗りません。

では、初動感度を高めるために何が必要か。

振動板を含む振動系を軽くすることと支持系のロスをなくすことにつきます。単に、昔に帰ればいい事ですがそれは大きな箱になるので商品になりません。
振動系が重いものはいくら強力な磁力で駆動しても瞬時の動きは取れません。慣性の法則が働きます。
強力な磁力は意味がない訳ではなく出力音圧レベルには有効に働き、変換効率が上がります。また、磁気回路の重量も大きくなるのでデッドマス効果でぶれない音になります。
理想は軽い振動板に強力な磁力ですが、理想特性でスピーカーが動くと-6dB/octで低音が出なくなる別の現実に悩むことになります。

スピーカーとは物理学の法則そのもので、あちらを立てればこちらが立たずであり、現実には適度なごまかしの上に成り立つ商品ともいえそうです。
適度なごまかしって何?
正確な低音再生よりも低音感を持たせた方がみんなが幸せになるってことにして、真相は来店をお待ちしています。

スピーカーの出力音圧レベル低下はスピーカーだけの問題にとどまらず、アンプやケーブルに至るまですべての機器に負のスパイラルを描いているのではと心配な面があります。
この値は非常に重要で、かりに、3dB下がると同じ音量を得るのに2倍のアンプパワーが必要になります
6dB下がると倍の倍ですから4倍のパワーが必要です。
94dBと85dBのユニットが同じ音量を出すには8倍ものアンプパワーが必要になります。

小笠の考えではこの値が92dB/W・mを割ると一般家庭での適正音量(小音量再生)でのリニアリティーは厳しくなります。

小音量では余韻などの微弱音の表現ができず無表情な音を聴かされていることになります。たから、ヘッドホーンの方が音がいいよね・・なんていわれる事に。
この現象は音量を上げれば、同じスピーカーかと疑うほど、豊かな表情で元気に鳴り始めることからも簡単に確かめれますね。
ちなみに92dB/W/mの変換効率は約1%と言われており最近のスピーカーのロスは異常なレベルまで落ちています。
燃費を意識する時代でありながらスピーカーの変換効率は下がる一方です。

トールボーイ型など小口径ユニットを複数使用してサイズを超えた低音をアピールしている商品も多々あります。横幅を狭く設計できるのでシアタールームやリビングにもスマートにセットできることから人気で、もはや主流といえる形状ですが小音量再生では問題が残ります。
物理の法則には逆らえないので、バスレフ型の設計とし、振動板を重くして最低共振周波数foを下げ、ダクト共振でレベルを上げ、低音感を出すことになります。

優秀なF特性は無理やりでも出ますが初動感度と出力音圧レベルはさらに劣化し、無表情な音になります。
また、20cmサイズのユニットを複数個利用して小型ウーハーの俊敏なレスポンスで30㎝クラス同等の低音を実現・・・とかこれも意味を疑うのもが多いです。
スピーカーほど理論に対してぼかした設計がまかり通る商品は他にないのではないでしょうか。

一方、アンプ側は変換効率が低くて鳴りにくい最近のスピーカーを鳴らすためと、スペック向上のため、世代交代ごとに高出力化されてきました。
スピーカーの無表情な音の陰で埋もれてますがアンプでも同様の小音量でのリニアリティーが悪くなっています。

電源に大容量の電解コンデンサーを構えハイパワーの対応をアピールするメーカーもあれば
SOULNOTEのA-0のようにトランジェントの良い大型電源を搭載しながらも、音質の良い小電力トランジスターにこだわり、出力を10Wに抑え、一般家庭での、実用域での音楽表現にこだわった商品も希少ながらも存在します。

スピーカーケーブルもハイパワー化や精度を疑うほどの高純度化など、音質向上への根拠が不明な高額商品があふれています。

 

オーディオの基本技術はすでに確立され、実用品としての技術もこなれているので技術屋さんの立ち位置も難しい時代と察します。
オーディオ機器は、工業技術と芸術の感性融合製品であり、音楽を楽しむための道具であることをいま一度見つめ直し、本物を提案しないと音楽そのものも含め、底浅いものになり、実用性に長けた携帯端末に淘汰されてしまうでしょう。

上記乱文は小笠のコラムであり客観的な説明にかけることがある事をご了承願います。



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